吹奏楽ゼミナールのすゝめ
2026年3月
公益社団法人日本吹奏楽指導者協会(JBA)では、毎年12月末近くに吹奏楽指導者のための講習会「吹奏楽ゼミナール」(3日間)を行っています。
ぜひ、多くのみなさんにお薦めしたく寄稿いたしました。
みなさんは吹奏楽をしていて次のようなことを、考えたことはありませんか。
・指揮法を習ったことがないので、基礎から勉強したい。
・吹奏楽の基礎的な知識や指導スキルを学びたい。
・吹奏楽部や吹奏楽団の運営方法、および年間練習スケジュールの立て方を学びたい。
・自分が演奏したことのない管打楽器の指導法について学びたい。
・フルスコアの読み方を学びたい。そのフルスコアを見て自分のバンドに合うように、ちょっとした編曲ができたら。
・部活動の時間制限がさらに厳しくなっている今、短い時間で効率的に練習するには。
・部活動の地域展開についての情報が知りたい。意見交換をしたい。
どうでしょうか。
上記、いくつも考えていませんか。
音大卒の方でもない限り、専門的な勉強はしていない方が多いと思います。
受講者は学校の先生、地域の吹奏楽団の指導的立場にある方が中心になりますが、音大卒の方も多く、日本中から参加しています。
近年では海外各国からの参加者も、通訳の方と一緒に何人も受講されています。
講師陣は吹奏楽界第一線でご活躍されている方々で、みなさんもお名前はご存じの方が多いと思います。
2025年12月に大阪の明浄学院高等学校で行われた第43回吹奏楽ゼミナールでは、
・ダグラス・ボストック氏
世界で活躍する英国の指揮者。
佼成ウインド・オーケストラ及び大阪シオン・ウインド・オーケストラ首席客員指揮者
・保科洋氏
作曲家。1987年課題曲「風紋」、「復興」他作品多数。兵庫教育大学名誉教授、作陽音楽大学客員教授
・伊藤康英氏
作曲家。2026年課題曲「管楽器のためのフィナーレ」、「ぐるりよざ」他作品多数。
洗足学園音楽大学教授
・鈴木英史氏
作曲家。2025年課題曲「ジェネシス」、「カントゥス・ソナーレ」他作品多数。
尚美ミュージックカレッジ専門学校特別講師、洗足学園音楽大学非常勤講師
をはじめ、音楽大学教授、プロの演奏家、日本マーチング協会の会長、弁護士(子どもの権利、ハラスメントについての専門家)という素晴らしい講師陣でした。
さて、カリキュラムです。
マスタークラス、中級、初級の3クラスにコースが分かれ、共通と選択の講義を受けます。
受講生にあわせた座学と実技で、どれも活きた内容となっており、受けてよかったと思うものばかりでした。
・明浄学院高等学校吹奏楽部をモデルバンドとしたリハーサルクリニック。
保科洋氏の講義で、モデルバンドを指揮し、厳しい口調ながらも「みなさんに伝えたいことがたくさんある」という保科氏の気持ちが、受講者にストレートに届く内容でした。
「作曲者の書いたものを代弁し演出していくのが指揮者。楽譜は、音色を表すことがごく一部しかできない。指揮者は音色を求め、表現していくことができる。」という言葉とともに、モデルバンドでそれを実践していただき、驚きに近いほど感動しました。
・モデルバンドに対しての指揮法実技(orモデルバンドなし指揮法基礎の選択)。
ボストック氏の講義でマスタークラスの方の指揮を指導。表現に対する的確な指示とバトンテクニック(タクトの振り方)の修正。流暢な日本語でジョークを交え、笑いを取りながらも、英語と時々他言語が混ざるので1/3は「何となく」しかわかりませんでした。英語をもっと勉強しておけばよかった…と実感!
・楽譜の読み方、書き方①➁③
フルスコアを読みとる、異なる移調楽器を同時に読む、コード進行の理解他。
鈴木英史氏より、ご自身が作曲した課題曲「ジェネシス」について「どのように考えて書いたか、曲の構成はどのようになっているのか」等を教えていただいたのはとても楽しく、最後まで興味津々に聞き入りました。
・楽典基礎①➁③
楽典の書籍を一通り読んだことのない方でも、楽典に対する理解を深められます。
・ハラスメント講座
現場で起こる様々な事象対応方法や未然防止策を、多くの事例を知っている弁護士からの「このようなことが起きた時には」の案件提示をもとに、一緒に考えました。
このほかにも、「日本吹奏楽の変遷」「吹奏楽部の地域展開を考える」「マーチング入門」「吹奏楽指導のためのソルフェージュ入門」「小編成バンド指導」「小学生バンド指導」等、全部受講したいものばかりでした。
講義後は別会費制にて任意参加の情報交換会があり、日本全国および海外からの受講生の交流と意見交換ができました。
「○○で苦労しているのですが、そちらではどうしていますか」等の話がたくさん出ていました。
最終日(3日目)の昼に、終了証書の授与にて閉講となるのですが、希望者は午後に「吹奏楽指導者認定試験」があります。
1級・2級・3級があり、3級も理論筆記試験、指揮実技試験、論文(後日提出)の3科目全部に合格しないと取得できません。
筆記試験は楽典だけでなく、過去数年間の問題をやっておくことが必要です。
実技は短い指定課題曲3曲のうち、試験会場で1曲を指定されるので、ピアノ奏者を相手に試験官の前で指揮をします。やはり事前に、どのように指揮棒を振るか繰り返し練習をしておかないと受かりませんが、大丈夫、やる気があればなんとかなります。
この資格取得は大きな自信につながりますので、是非受けてみてはいかがでしょうか。
2級からは、上記項目に加え編曲(後日提出)プラス、実技が2科目に増え、計5科目になります。
実技のひとつはフル編成のモデルバンドを相手に初見曲の合奏指導をして、演奏の間違いを2カ所以上修正しなくてはいけません。例えば「サードトランペットさん、9小節3拍の裏を実音Fに修正してください」というように指摘するのですが、多声の曲であり和音の響きが気になっても、どのパートのどの音だかを聴き分けるのは至難の業です。
なんと!今回は、ボストック先生、伊藤康英先生をはじめとした著名な先生方が試験官であり、受験生一人ひとりに直筆で講評内容を記入していただけたのです。
私も受験しましたので、講評内容さえよければ、額縁に入れて飾っておきたいところですが…(泣)。
長文をお読みいただき、ありがとうございました。
いかがでしょうか。
吹奏楽ゼミナールに少しでもご興味をお持ちいただけたでしょうか。
第42回と43回は大阪の明浄学院高等学校にて行われていますが、第40回と41回は名古屋音大にて、その前の第38回と39回はコロナ禍のため、オンラインにて開催されています。
次回の会場は未定(2026/3/22現在)で、日程を含め公表はまだ先になるかと思いますが、公益社団法人日本吹奏楽指導者協会のホームページをご覧になってください。
私も受講予定です。ぜひご一緒に参加しましょう。